■世界全体の不動産投資額の割合。アジア太平洋地域は44%でトップ、ついで北米(アメリカ)34%、欧州(ヨーロッパ)23%



米不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は世界の不動産投資活動の予測として「アトラス・サマリー2017」を発行した。この中で2017年のアジア太平洋地域における不動産投資額は6110億ドルに上ると見通した。2016年に比べて1.6%増にとどまるが、2017年の世界全体の不動産投資額(1.39兆ドル)の44%を占め、北米と欧州はそれぞれ、全世界の34%と22%のシェアと予測している。





日本市場については、過去2年にわたる売却物件の少なさが2017年も続くと予想。背景として、国内外の資金が溢れて多くの投資家が資金展開に苦戦していることに加え、金融緩和の維持によって容易となったリファイナンスが影響していると断じ、オーナーが物件売却にプレッシャーを感じていないと指摘する。

同社の日本リサーチディレクターは、こうした潤沢なマネーの今後の展開方法として、賃料収入などで長期運用を見据えるコア型投資家が好む資産に振り向けることを提唱する。そのためには、誰かがコア資産そのものを生み出すことが欠かせず、例えば、投資家自身が投資戦略にバリューアッド戦術を取り入れて、自ら資産価値を上げた資産を作り出し市場を強化することを提案している。

実際、安定資産を追求するJリートではバリューアッド戦術を立てて実践している投資法人が少なくなく、安定したキャッシュフローを生む資産を仕入れて運用資産の見直しを進めている。